泣かない家族
父はそれからひとしきり泣いた。
あたしは呆然としていた。
1ヶ月って何?
来月にはお母さん死んじゃうかもしれないって事?
もう二度とあの暗い病院からは出られないかもしれないじゃん。
ウソでしょ?
そんなに悪いの?
免疫療法間に合わない・・・。
セカンド・オピニオンだって・・・。
何もかもが間に合わない・・・。
あたし何でのんきに仕事なんかしてたんだろう・・・。
毎日顔を出さないとあたし絶対後悔する。
後悔はもういっぱいしてるけど、もっと親孝行したかったとかお嫁さんの姿見せたかったとか・・・。
「あたし仕事辞めるわ」父にそう言うと「そっか」としか言わなかった。