美しき彼女は堕ちていく



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本龍寺紀世羅(ホンリュウジ・キヨラ)はゆっくりと、でも時間の無駄が無いように、朝のしたくをしていた。


白いセーラーに腕を通し、全身鏡の前で微笑む。


すると、鏡にもう一人映った。


「似合っているわよ...紀世羅さん。」


黒いワンピースを着て、紀世羅に笑いかける女。


「お人形さんみたいだわ。」

「..........」


黙っている紀世羅にクスリと笑うと、ドアに手をかけて、振り向くように紀世羅を見ると。

『まぁ、実際そうなんだけど』と呟く。

紀世羅が唇を噛む姿を見て、満足した女は、紀世羅の部屋を後にした。


紀世羅は、女の背中を睨むと、机の引き出しから指輪を取り出した。

それにチェーンを通し、首にかける。


「やっと、やっと昔の続きが出来るね...真哉」

ネックレスを握り締め、紀世羅は鞄を持って、下に降りた。


背筋が凍りつくような、笑みを浮かべて。



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