美しき彼女は堕ちていく
○●○●○●○●○●○●○
本龍寺紀世羅(ホンリュウジ・キヨラ)はゆっくりと、でも時間の無駄が無いように、朝のしたくをしていた。
白いセーラーに腕を通し、全身鏡の前で微笑む。
すると、鏡にもう一人映った。
「似合っているわよ...紀世羅さん。」
黒いワンピースを着て、紀世羅に笑いかける女。
「お人形さんみたいだわ。」
「..........」
黙っている紀世羅にクスリと笑うと、ドアに手をかけて、振り向くように紀世羅を見ると。
『まぁ、実際そうなんだけど』と呟く。
紀世羅が唇を噛む姿を見て、満足した女は、紀世羅の部屋を後にした。
紀世羅は、女の背中を睨むと、机の引き出しから指輪を取り出した。
それにチェーンを通し、首にかける。
「やっと、やっと昔の続きが出来るね...真哉」
ネックレスを握り締め、紀世羅は鞄を持って、下に降りた。
背筋が凍りつくような、笑みを浮かべて。