美しき彼女は堕ちていく
紀世羅はドアの隙間から、怪しげな二人を見ていた。
それは、今までブラックから聞いていた事通りで、紀世羅は悔しさを紛らわすため、爪を噛む。
「佐野郷里...名前までも憎い奴」
スカートを翻して、紀世羅は職員室に向った。
頭の中では、さまざまな計画が組み立てられていく...。
「さぁーてと...どう潰すかな...あの子を」
紀世羅はポニーテールの髪を解き、腰まで伸びたストレートな黒髪を揺らす。
その姿は、数年前では想像できない姿。
佐野紀世羅は、さなぎから蝶になり、本龍寺紀世羅となった。
「そして、本龍寺紀世羅は...志野紀世羅になったとさ...」
ネックレスのチェーンを切ると、永遠の指輪をはめる指に通した。
そしてクスリと笑い、職員室へと向う。
そして目の前からは、薄ら笑いを浮かべた男。
「来たようだな」
「えぇ、あなたは、裏切らないって言ったから」
「まぁ、頑張れよ。」
通り過ぎる一瞬で話し終えると、紀世羅は職員室に入っていった。
男は振り返ることもせず、自分の教室に足を向けていた。