放課後の小さな秘密。
「実緒を離してください」
敬語だけど、口調は
すごく怒ってる声だった。
「あ、この子って実緒って言うんだ。てか、お前って彼氏なのか?」
「……」
その質問に
何も答えない奏馬くん。
それだけで
涙腺が緩む私。
答えないのが
立派な答えだよ…………
そんな奏馬くんを見て
また先輩は口を開く。
「違うんだろ?
だったら、お前に関係ねぇじゃん。実緒は俺に任せとけって」
そう言って
先輩は私を強く抱き締めた。