綺麗な百合にも棘がある
再会 Haru
不景気による突然の派遣切りで、春緋は職を失った。

大学は卒業しているが、ろくに資格も取ってない彼は再就職先もなかなか見つからず、アパートの家賃も払えなくなり、親友の滝川祥真(たきかわしょうま)の家に転がりこんだ。

「じゃあ今度はこっちに、消しゴムかけて」

祥真は高校の頃からマンガを書いていて、大学の時にデビューして第一線で活躍している。

家賃がわりにアシスタントをしながら約6ヶ月が経ってしまった。

職安にも行っているが全く見つからない。

今更、もっと将来の為になる学部に入れば良かった。と何度後悔したかわからない。

そんなモヤモヤした気持ちのまま春緋は27才の誕生日を迎えた。
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