綺麗な百合にも棘がある
古賀と夏妃の家を出たけど、聞きたいことが山ほどあった。

その衝動を抑えられなかった。

「あの!少し、時間をもらっても良いでしょうか?なっちゃん、姉と話しがしたいんです」

「良いよ」

あっさりと時間もらえたことに拍子抜けしたが、気にしている場合ではなかった。

再度、夏妃の家のドアを叩いた。

「春緋、どうしたの」

「なっちゃん色々聞きたいことがあるんだ」

「何を?」

玄関の壁にもたれが夏妃が話すよう促す。

「何で、家に連絡しないの?10年も」

「必要ないから。それに何を話すの?」

「何でも、近況とか。小説家やってることとか漫画を描いてることだって知らなかったし」

「おばあちゃんにしか言ってないから」

「母さんも心配してるんだよ」

「そう」

夏妃は春緋の言葉をただ聞き流しているようだった。

「たまには帰ってきなよ。みんなでご飯」

食べようと言おうとした時、夏妃が壁を叩いた。
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