綺麗な百合にも棘がある
「あんな家に二度帰ることはない。私の家はここ。家族はおばあちゃんだけ!」

夏妃の怒りの剣幕に唾を飲み込んだ。

こんなに感情を現した夏陽を始めてみた。


「春緋、あんたも私の家族じゃない。ただの作家と担当編集、それい以上でも以下でもない」

「何で、そんなこと言うんだよ!オレはなっちゃんをずっと家族だと思ってる。今までもこれからも」

「勝手にすればいい。ただ、仕事で不様なことだけはしないでよ。同じ顔してるんだから、こっちの信用問題になるわ」

冷たい目で見られて、返す言葉がなかった。


記憶の中の夏妃は、顔と身体は今よりもぽっちゃりしていた。性格はおっとりしていて、たまにそのおっとりしていているところに、イライラもしたが救われることもあった。
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