綺麗な百合にも棘がある
邂逅 natsu
編集の古賀から担当が替わると言われてどんな人が来るかと思えば、七年間、会うことのなかった弟だった。
動揺がなかったわけじゃないが、古賀からどういう人間が来るか聞かされていた夏陽は、動揺を隠さない弟に優越感を感じた。
相変わらずの落ち着きのなさにため息が出た。
家族で唯一交流のある祖母から聞いていて知ってはいたが、この年で無職になっていて、友達の家に居候になっているという、情けない暮らしをしていることに、呆れていた。
根明な性格をしているが、根性の足りない弟が果たして自分の望む仕事をしてくれるかという疑念。
数々の不安はあるが、バックには古賀がいるし、編集長がいるからなんとかなるだろう。
夏妃が春緋を編集者として受け入れたのは、別の理由があった。
それに自分が春緋を家族じゃないと言った時の顔。
例えるなら迷子の子ども。
捨てられた仔犬。
それを見たら、背筋がゾクゾクした。
「んふ。楽しくなりそうねぇ」
「先生、嬉しそうですね。弟さんに会えてそんなに嬉しかったんですか?」
亮は夏妃の性質を理解していてなおその質問をしてくる。まるで会話を楽しむかのように。
「ええ。とってもね」
春緋は夏妃に対して罪悪感がある。絶対、逆らえない。
動揺がなかったわけじゃないが、古賀からどういう人間が来るか聞かされていた夏陽は、動揺を隠さない弟に優越感を感じた。
相変わらずの落ち着きのなさにため息が出た。
家族で唯一交流のある祖母から聞いていて知ってはいたが、この年で無職になっていて、友達の家に居候になっているという、情けない暮らしをしていることに、呆れていた。
根明な性格をしているが、根性の足りない弟が果たして自分の望む仕事をしてくれるかという疑念。
数々の不安はあるが、バックには古賀がいるし、編集長がいるからなんとかなるだろう。
夏妃が春緋を編集者として受け入れたのは、別の理由があった。
それに自分が春緋を家族じゃないと言った時の顔。
例えるなら迷子の子ども。
捨てられた仔犬。
それを見たら、背筋がゾクゾクした。
「んふ。楽しくなりそうねぇ」
「先生、嬉しそうですね。弟さんに会えてそんなに嬉しかったんですか?」
亮は夏妃の性質を理解していてなおその質問をしてくる。まるで会話を楽しむかのように。
「ええ。とってもね」
春緋は夏妃に対して罪悪感がある。絶対、逆らえない。