フルスロットルラブ
どうしてなのか告白する勇気だけは一度も持てなくて。
それは自分が傷つくのが怖いからなのか、
それともこの恋が叶いっこないと知っていたからなのか、
自分が傷ついても良いと思える程に相手を好きじゃ無かったからなのか、
今になってはもう分からないけれど。
だけど失恋すれば痛むこの心を思えば、
やっぱり私は確かに恋していたのだと確信出来る。
そんな恋の仕方しか出来なかったせいで、自分の気持ちが相手に伝わる事も無く、そして相手が気づいてくれる事も無かったのだけれど。
だけど私がそうして見つめ続けて来た分だけ、好きな人が両思いになり幸せになって行く瞬間を見て来た。
自分の好きな人が自分を好きになってくれる。
そんな夢のような出来事が、自分の周りでは実際に起こりうるのだと知った。
生まれも育ちも環境も性別も違う人間が、恋や愛という気持ちだけで結び合う。
そんな奇跡のような瞬間を何度も目の当たりにして来た。