フルスロットルラブ

そして、無言のまま食事を済ませた私達は今…。


チーン…


エレベーターに乗っている。


この状況は…、


颯真が上に部屋を取ってあると言っていた、その部屋に向かっているものと思われる。


何で大人しくついて来てるんだ私!!!


本当は食事が終わった途端に逃げ出したかったけれど、


明らかに挙動不審な私を見た颯真が、



『逃げたらどうなるか分かってんだろうな?』



と言って、絶対零度の眼差しでクギをさして来たから、


完全に逃げるタイミングを失ってしまった。


そして、ナゼかしっかりと手を繋がれたままエレベーターに連行された私。


エレベーターに乗り込んだ後も、この手が離される事は無い。


あぁ、他に人が乗っていなくて本当に良かった…。


なんて思わず人の目を気にしてしまう。


きっと他人が見たら、手を繋いでエレベーターに乗る私達を、恋人同士か何かだと思う事だろう。


だけど、私の手をしっかりと握って離さない隣のこの男からは、冷たい空気しか感じられない。


それも絶対零度の冷たさだ…。

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