フルスロットルラブ

文句1つ言わせて貰えないのならばと、


颯真から離れようと距離を取ろうとすると…



『逃げるな。』



そう冷たい声で言われて、繋いだ手をギュっと握られた。


痛ーーーっ!!


ちょっと!
本当に痛いんですけど…!!


握り潰されそうな勢いなんですけど!!!


もしかしてもしかしたら、私を好きかもしれない男のする行動じゃないんですけど!?


好きな女を前にしたら、普通はもっと優しくするもんでしょうが!


少なくとも今まで私が片思いしてきた人達はそうだった。


私の目の前で幸せになって行った人達は、好きな人をとても慈しむような眼差しで見つめていた。


そこには周りに花が咲きそうな程暖かで優しい雰囲気が漂っていた。


なのに…この傲慢で不遜で尊大な男からは、そんな甘ったるい空気なんて微塵も感じられない。


むしろ、どんどん怒りのオーラばかりを感じる。


エレベーター内の温度がぐんぐん下がっている気がする。


凍らせる気か颯真!?

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