フルスロットルラブ
急降下する気持ち
なけなしの勇気を振り絞って「そうま」と呼びかけようとした私は、
ブス、デブ、ハゲの3連続暴言によって早速戦意を喪失した。
そして項を垂れた私の手を掴んで、強引にズルズルと部屋に連行して行く颯真。
最後に『ハゲ』と言い捨てられて部屋に連行されて行くなんて…。
これは絶対に愛の告白なんかされる訳がない!
説教だ!
説教する気だ!!
泊まるって事は…、オールナイトで説教する気だ!!
もしくは本当にぶっ飛ばす気なのかも知れない…。
えっ!本気!?颯真本気なの?
女の子をぶっ飛ばすなんて25歳の大人の男のする事じゃないわっ!
説教された上にぶっ飛ばされるなんて…
そんなの絶対に嫌だっ!!!
そんなの酷すぎる!!
あんまりだ!!!
どうして25歳にもなって幼なじみに説教されなきゃならないんだ!
しかもその後でぶっ飛ばされる可能性があるなんて…!
怖い恐ろしい泣きたい帰りたい。
そんな思いばかりが浮かんで来るけれど、颯真が怖すぎて繋いだ手を振りほどけない。
何てことだ…。
親に怒られるならまだ分かる。
分かるんだけど、相手はただの幼なじみで腐れ縁の同級生だ。
しかも信じられない事に、実は私と同じで25年間恋人無しと来たもんだ。
よくよく考えてみれば、恋人が居ないという点に関しては同じ境遇なのだ。
それなのに、何でそんな男に説教されなきゃならないんだ!