フルスロットルラブ

余りの恐ろしさに「イヤァァァァー!」と叫び出しそうになっていると、



『入れ。』



と颯真の地を這うような低い声が聞こえて来た。



今度こそ本気で「イヤァァァァー!」と叫びそうになる私の首根っこを掴むと、颯真がぺいっと部屋に放り込んだ。



ギャー!!!!!
部屋に入ってしまったではないか!!!


くぐってしまった…地獄のドアを!


しかも自分から!!!


あああ…これから私は颯真に説教という名の折檻を受けるのかもしれない。


それもオールナイトで!!!


本気で怯えながら颯真を見つめると、まるで獲物を睨むような獰猛な瞳とぶつかった。


わぁぁぁぁーーー!!!
これは間違いなく折檻される!!!
説教されて折檻される!!!


あの目は本気の目だ!!!


今すぐ逃げたい…!!
ものすごく逃げ出したい!!!


だけど、颯真の鋭い眼差しが余りにも恐ろしくて、逃げ出したくても身体が動かない。


カチンコチンに固まってしまった私は、颯真の瞳から目が逸らせなくなっていた。


それはまさに、危険な猛獣から目を離してはいけないという防衛本能と言えるだろう。


だけどこんなに真剣に颯真の一挙手一投足に神経を張り巡らせて、じっくりと見つめた事など今までにあっただろうか?


好きな人を見つめていた時でさえ、こんなにも神経を張り詰めて相手を見つめた事など無かったかもしれない。

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