フルスロットルラブ

あんまり酷い事ばかり言われたせいで思わず涙も止まったわ!


デリカシーが無さ過ぎるコイツのせいで涙は止まったけれど、


あまりに悔しいので、ハンカチで涙を拭うフリをしながら恨みを込めて睨み付けてやる。


『はぁ?毎回毎回失恋する度に慰めてやってる俺の身にもなれよ。これで何度目だ?3回目か?4回目か?その度にオレが紗英(サエ)の愚痴を聞いてやってんだぞ。毎回優しくオマエを慰めて来たオレの苦労も分かれよ。』


はぁ…!?

どこが優しくだ!


過去を思い返してみれば…、

確かに今まで私が失恋する度に、颯真(ソウマ)が何かとちょっかいを掛けて来ていたような気がする。


小5の時にクラスの人気者の大輔(ダイスケ)君に失恋した時も。

中2の時に学校で人気No.1だった翼(ツバサ)君に失恋した時も。

高2の時に電車で見かける名前も知らない男の子に失恋した時も。

そして、25歳にして5年間片思いをしていた秋津君に人生で4度目の失恋をした時も。


その度に…、


「オマエ、ブスなんだから仕方ねぇだろ。」

「高望みもいい加減にしろよ。」

「はぁ?誰だよソレ、電車で見かけるだけのヤツによく失恋なんて出来るな。」


そう言って私の心の傷口に塩を塗りまくって来たのだ。



そしてとどめに今日のコレだ…。


一体ドコが優しく慰めていると言うのだろうか?


その上ナゼだかは分からないが、私が失恋する度に颯真の不機嫌さが増して行っているような気がする…。


失恋した私が不機嫌になるならまだしも、ナゼ颯真が怒るのかが分からない。

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