フルスロットルラブ
そんなこんなで、私の初体験はフルスロットルに終わった。
終わってしまった…。
25年間も大切にしていたハジメテを、颯真にあっさりがっつり奪われて、そんなこんなで終わってしまって良い訳がないのだけれど、終わってしまったことを今更とやかく言っても仕方が無い。
こんな風に諦めがつくようになったのも25歳という歳のせいなのだろうか…。
もっと若い頃だったなら、こんなに乱暴な扱いをされた後に、諦めて全てを受け入れるなどという大人な対応は到底出来なかった事だろう。
乙女の夢や希望や理想をフルスロットルにぶっ壊されて、昔の私ならば絶叫して発狂して乱闘の1つや2つ繰り広げていたに違いない。
しかしまぁ、実際に体験してみると余りの痛さにビックリした。
そこにはうっとりするような、めくるめく世界なんてものはちっとも広がっていなかった。
やっぱり理想と現実は全然違うものなのねと実感した。
だけど、そんな痛みも颯真が相手だったから我慢出来たのだと思う。
死ぬほど恥ずかしくても、とんでもなく痛くても、相手が颯真だからこそ耐えられたし、耐えようと思ったのだと思う。
痛かったけれど、
理想とは全く違っていたのだけれど、
颯真と1つになれた事を、私はとても幸せだと思った。