フルスロットルラブ
役所の窓口で婚姻届を提出すると、
「おめでとうございます。」
と、窓口の担当者に事務的に言われた。
その一言で婚姻届が無事に受理されたのだなぁと思うと、入籍って意外とあっけないものなんだなと実感して、何だか拍子抜けしてしまった。
役所へ婚姻届を提出しに向かっている時はただの幼なじみだったのに、提出し終えて帰る今はもう夫婦になっただなんて…。
全く持って実感が無い。
これっぽっちも実感が湧いて来ない。
自分の名字が変わってしまっただなんて全然信じられない。
それもこれも全ては颯真のせいだ。
颯真に脅されて急かされて、ここまで猛スピードで全てを済ませて来てしまったからだと思う。
フルスロットルで片付けて来てしまったからだと思う。