I wanna be your only lover
敦さんと過ごす日々は、初めてのことばかりだった。


敦さんは少年マンガをこよなく愛していて、


オススメのマンガをこれでもかと教えてくれる。


そしてそれらは全部私の未読作品ばっかり。


私もマンガ好きとは言え、少年マンガは読んでいないものが割と多いと気付かされる。


「えー!これも読んでないの?これも?これもなの!?…いいなあ〜、この展開を今から体験できるとか、美生ちゃん幸せ者だよ!」


目を輝かせて話す敦さんは、年上に見えなくて可愛い。


敦さんのアパートはマンガで溢れていて、


私が面白かったとほくほく顔で感想を話すと、


本当に嬉しそうで、頭を撫でてくれる仕草がとても好きだと思った。


ーーーそう、好きになれた。


こんなに穏やかな恋愛は初めてだった。


自覚したこの気持ちを、


敦さんに伝えたい、そう思った。
< 107 / 109 >

この作品をシェア

pagetop