I wanna be your only lover
『美生、聞いてる?』
タクちゃんの声で我にかえる。
アパートで何となくテレビを見ながら、タクちゃんと電話していた。
やっぱりテレビ見ながら電話すると、ぼーっとしちゃうな…
…そんなのは言い訳だろうか。
「え?あぁ、うん、聞いてたよ」
『聞いてたならいいんだ。というわけで、俺ゴールデンウイークにそっちに行くよ』
「え!?」
『えっ、て、今そう言ったからね。美生も遠距離であんまり会えないの寂しいでしょ』
「う、うん…わかった、ゴールデンウイークね。駅まで迎えに行くよ」
『美生どうしたの?なんかあった?』
「え?何にもないよ、大丈夫」
『そう?ならいいけどさ』
何にもなく、なかった。
でもまだ認めたくなかった。
…タクちゃんを、好きでいたかったから。