I wanna be your only lover
17時ぴったりに、タクちゃんは改札から出てきた。
相変わらず几帳面というか、そういうところは変わってないなぁと苦笑する。
「美生」
呼びかけながら真っ直ぐあたしの方へやってくるタクちゃん。
久しぶりと挨拶を交わして手をつなぐ。
歩き出したあたしを見下ろしてタクちゃんは言う。
「美生、背縮んだ?」
「ばか、タクちゃんが伸びたんでしょ、育ち盛りめ」
タクちゃんに出会ったときは彼はまだ高校1年生だった。
今はもう高校3年生。
あたしはまだ少し幼さの残る顔を見つめる。
あれから、もう2年経つのか…
そりゃ背も伸びるわな。