I wanna be your only lover


「…美生ちゃん、ゴールデンウイークはどっか行った?」

寝たと思ったタクさんが話しだす。

敦さんとおんなじ質問だ。

「…彼氏くんがはるばる来てくれて、3日もいてくれましたよ」

腕で眼を塞いでいたタクさんが、

腕をずらしてあたしを見た。

「そっか、楽しかった?」

「…はい」

“タクさんを忘れられるんじゃないかってくらいに”という言葉は飲み込んだ。

「タクさんはどっか行きました?」

あたしから視線をずらしてタクさんは言った。

「遠出はしなかったなぁ。でも“シオリ”と大学の近くの健康ランド行ったな」

“おっさんみたいだろ”とタクさんが笑う。

あたしは、何も答えなかった。

答えられなかった。
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