I wanna be your only lover
約束の夜8時、
大学構内は人も少なく、しんと静まり返っている。
東門から入り、キャンパス内を歩くあたしの目に、
ぽつんと光るてんけんの部室が見えた。
タクさん以外の人がいないといいけど…
なんて冷静な自分と、
これからタクさんに会うことにどぎまぎする自分がいた。
けれど不思議と冷静な自分の方が大きい。
近づく部室の灯りが大きくなるにつれ、
冷静さは高まっていく気すらした。
ドアを開けると、
タクさんがいた。
「…どうも」
ぎこちない挨拶が少しさびしい。
「…どうも」
ぺこりと頭を下げて、
あたしは部室に入った。