I wanna be your only lover
玄関まで付いていって、
タクさんを見送る。
そして、
『じゃあね』といいかけたあたしの口を、
タクさんはふさいだ。
何が起こったのかなんて、
わかるわけがなくて。
そっと離れたくちびるを見つめて、
やっと理解した。
この人は、
ひどいひと。
あたしを離す気はなくて、
蜘蛛みたいに捕まえたえさは逃がさない。
…捕まったあたしは、
逃げらない。
もう引き返せないと思った。