透明水彩
読み終わった直後、今の手紙で状況を理解したかと問われれば、答えは間違いなく“NO”だ。
告げられた事実はあまりにも抽象的で、端的過ぎる。信じなさいと言われたって、何をどう信じればいいのかさえわからない。
あたしとリングが狙われてるって、何で?
“安全な世界”って、何処?
白い箱のような装置って、何?
それで身体が送られる、だなんて、はっきり言って意味がわからない。
お父さんとお母さんがこうなった以上、あたしに何らかの手が及ぶかもっていうのは、まぁ、考えなかった訳ではないけれど。
あまりにも非現実的で信じがたい内容の手紙……。この状況で両親が嘘をついているとは思えないけれど、信憑に欠けている気がしてならない。まぁ現実に、非現実的な事件が起きたのも事実なのだけど。
…――正臣に任せてある。
不意に、頭の中を過ぎった一文。
正臣――叔父さんは、事実をどこまで、何をどう知ってるのだろうと、ゆっくりと視線を向けた。