透明水彩

いてもたってもいられなくて、ゆっくりと隣の部屋へと踏み出した。


「……あ。美凪、もう大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ、藍香。」


いち早くあたしが部屋へ入ってきたことに気づいた藍香に笑顔を向け、部屋の中心へと歩む。


「無理すんじゃねぇぞ。」

「うん。」


そしてケイの言葉に小さく頷きながら、何気なくモニターを見上げた。
映し出されている鮮明な地図を間近で見てると、敵アジトは本当に近いんだと確認できる。

でもある程度その場所を把握するのとほぼ同時に、あたしがモニターを見ていることに気づいたらしい湊に表示を消されてしまった。

途端に目のやり場をなくしたあたしは、とりあえず今1番の疑問を藍香にぶつける。


「…ねぇ、藍香。莱と芽梨ちゃんは……?」

「莱と芽梨?…んーと、2人なら向こうの部屋よ。」


すると藍香は、そう答えて小さく笑い、あたしが寝ていた部屋の隣にあるドアを指差した。
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