透明水彩
人殺し、か…
「てめっ…!」
「湊、いいよ。その通り、だから。」
もう、芹奈さんの言葉を否定することはできない。
確かに今あたしは、たくさんの人の存在をこの世から消した。
あたしは本当に、人間兵器だった。
「よくも、パパを……!死ぬのはアンタの方よ美凪!」
震え出すあたしの手を、理人が優しく包み込む。
今にも飛んでいきそうな意識をどうにか掴まえ、ギュッと強くその手を握りしめた。
そして目の端で、芹奈さんがあたしに銃口を向ける様子を捉える。
今度は本当に撃たれるなと、目を閉じたその刹那、爆ぜた音があたりに響く。
でもあたし自身には、衝撃も痛みさえもなくて。
不審に思って視線を向ければ、倒れ込んでいく芹奈さんの姿……。
やけにスローモーションで映るその光景は、今さらだけどあまりにも非現実的だった。