透明水彩
「……あの日から一週間、ずっと眠りっぱなしですよ?
心配する身にもなってくださいよー、もう。」
そしてあたしの頬の涙を掬い、ぎゅっと強く優しく抱きしめられる身体。
身体を預けるようにもたれ掛かれば、抱きしめる力は強まった。
「……莱の、怪我は?」
「俺は見ての通り、元気です。もう、大丈夫ですよ。」
「そっか。」
…――安心、する。
こんなにも優しく愛しいぬくもりが、伝わってきて。
莱が傍に居てくれるだけで、本当に安心できる。
「……じゃあ美凪サン。皆サン、美凪サンが目覚めるのすごく待ってたんです。だから俺、呼んできますね。」
「うん、わかった。」
ゆっくりと離れる身体が、名残惜しいとか思ったのは事実だけれど。
こんなあたしを待っていてくれたみんなを呼びに行く莱の背中を、素直に見送った。