透明水彩

「…ごめんって、藍香。でもなかなか気持ちの整理つかないし、未だに警察来たりするし。学校行くような状態じゃないっていうか何というか……」


そして抱き着く藍香の背中を数回軽く叩きながら、ごまかすように言い訳を並べる。だけどやっぱり、まるっきり嘘ではないし、むしろ本当のことだけど、あまり言い訳を並べるのは好きではない。

でも、あたしのその言葉に勢い良くあたしから離れた藍香は、申し訳なさそうに口を開いた。


「うん、わかってる。わかってたけど、つい言っちゃっただけ。久しぶりに会ったのに、いきなり無神経なこと言ってごめんね。」

「藍香……」

「でも、思ったより元気そうで良かった。美凪が寝込んでたりしたらどうしようって、本気で考えてたから。」


一瞬でがらりと変わってしまった雰囲気に、何だかあたしが申し訳なくなってくる。別に最初の藍香の言葉だって、あたしを元気づけようとしたことくらいはわかっていたんだ。

それにあの手紙のことがひっかかって、いつまでも悲しんでられる雰囲気ではなくなってしまったのが、今のあたしの現状だしね。
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