灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



『はっきり言ってよ。』



『え…?』



『あんた…あたしに惚れてんでしょ?』



ポロポロ流れる涙を両手で拭った。
その手を掴まれて
見られたくなくて俯こうとした瞬間。



そのまま柔らかい唇が
あたしの唇を塞いだの…。



その柔らかい唇は震えていて、
まるでファーストキスを経験した
少年のように
初々しいものだった。



唇が離れてもまたくっついて…
甘噛みする郷田に応えてた。



涙も乾いて顔が離れたら、
熱っぽい視線に捕らわれて
頬を撫でる大きな手が
愛しく感じた。



『惚れてるよ。
 出逢った時からずっと。』



『だからってここまでする…?』



『言っただろ?死なせないって。
 男は惚れた女を命に代えてでも
 守るもんだぜ。』



『やりすぎだよ…。』



少し笑ったら、郷田も笑った。



そしてあたしたちは
どちらからともなく
もう一度唇を重ねた……。











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