灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
それからは、食事も着替えも
手伝うことになった。
毎晩、躰を拭いてあげるのも
苦にならなくなった。
お風呂には入れないから
シャンプーもする。
初めは抵抗していた郷田も
今じゃ言いなりだ。
包帯を取れば、
まだ深く切り刻まれた二本の傷。
赤い肉が見えたまま。
『うぅ……!』
消毒する時は、のたうち回るほどの
痛みに耐えながらガーゼで覆う。
あたしからは決して口にしないけど、
郷田は一度も病院には行かなかった。
あたしに気をつかってなのか……
でもそんなことで行かない理由には
ならないと思う。
不審な点は見当たらないけど、
どこか違和感はある。