灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



潰れた声で喋れないあたしに
警察は事情聴取を繰り返す。
放心状態の上、時折人格さえ
変わり果ててしまう。



そんなあたしを周りは
【PTSD~外傷後ストレス障害~】
という病名で片付けようとした。



中身なんて関係ない。
理不尽な枠で締めくくられて
訳の分からない施設に送り込まれた。
別名、精神異常者収容所ともいう。



毎晩悪夢にうなされる。
何度もリストカットされた時の
感触が蘇って、飛び起きた。
眠れない日々が続いて
強制的に睡眠薬で眠らせられた
日もあった。



今でも鮮明に覚えてる。



あたしを押さえた時の母親の横顔。
あたしを切った時の母親の横顔。
切った直後に笑ってた……。



どうして死んじゃったの……?
置いていかないでよ……
あたしだってそっちに行きたいよ……



残された世界に
生きる意味なんてないよ……
あたしの名前を呼んで……
もう一度抱きしめてほしい……



息をしてるのも辛いの……



連れ戻しに来てよ……



なんで……もう居ないの……?











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