灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



『アキの気持ちが知りたいんだ。』



あたしの言葉で伝わるだろうか。
でも伝える時なんだと思う。
深く息を吸って、顔を上げる。



『誰にだって闇はある…。共有とか、
 共存とかは無理っていうか…よく
 わからない。だけど…同じ空間に
 居て……共鳴は出来るかもしれない』



『共鳴……?』



そう。
相手の中に入ったり
傷を舐め合ったりするのは
正直続かないと思うんだ。
闇が深ければ深いほど
どちらかが溺れてしまう。



『郷田なら…一緒に鳴いてくれる?
 無理に背負い込まなくていいから
 …同じ空間に居てほしい。』



一歩も二歩も先を行かないで……
手が届く距離に居て……
一緒に鳴いてほしいよ……



あんたが隣に居れば、
あたしはあたしで居られるのかも……



『それはつまり…俺が好き?』



『…言わせないでよ。』



それでも手は離れなくて











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