灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



『一緒に鳴くよ。ずっとそばに居る。』



ポタッとこぼれ落ちた雫。
郷田のことになると、
あたしの涙腺は言うことをきかない。
いつから弱くなったの…?



『好き……』



だと思う。



言い終える前に唇で塞がれた。



ちょっと…!
人生初めての告白なのに…!
欲情してんじゃねーよ。



と言うあたしも…
郷田の全てが欲しいと思う。



その反面、自分が怖くなる。
取り返しのつかなくなることが
こんなにも怖い。
目に見えないこの想いが
消えるなんて
一瞬のことだと思うから。



失う怖さは計り知れない。



あたしもあんたも
それを受け入れられるだろうか。
失った瞬間に
あんたは何を想う……?



約束して……
あたしと一緒に居て
もしもあたしが怖くなったら
何も言わずに別れてね。



あんたはまだ知らないから。
この病気の怖さを。













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