灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
深いキスを交わしながら
きっとあたしたちは
真逆のことを思い浮かべてる。
終着点は見えているのに
愚かなあたしは、
この温もりに酔いしれてるの……
失いたくないのはあたしの方だった。
全てを欲していたのもあたしだった。
お願い……まだ覚めないで
夢でもいいから
もう少しこのまま……
全てを忘れて、今だけは─────
ピリリリリ…!
ピリリリリ…!
再び鳴り響く電話。
唇を離して、郷田は舌打ちした。
『今度こそ出なよ。』
笑いかけるとしかめっ面しながら
携帯を手に取った。
『もしもし。ああ、大丈夫だ。』
話し始めたのを横目に
自分の部屋に戻ろうとした時。
………………!!