灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
8. 壊れたガラクタ
連日による徹夜にも関わらず
毎日ちゃんと食事だけは
あたしと一緒に取っていた。
ブランチにしたいところだけど
ここに来てからは毎日三食
強制的に食べさせられて
いつの間にか躰もそのリズムを
刻み始めてる。
郷田の手も、
包帯からネットに変わり
顔を歪ませることも今はない。
あの日、結局一線を越えることは
なかった。
郷田が言ってた、
“その時”なんてものは
やってくるの……?
来ないんじゃないかと思う。
過去は消えないから。
どんな理由を並べても
あたしがしてきたことには
変わりない。
避けられない事実なの。
驚いてたね。
無理もない。
そのうちあたしが怖くなって、
気味悪くなって、去っていくだろう。