灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
ハンパない仕事量をこなし、
変わらない笑みを向ける郷田を
少なからず尊敬していた。
『疲れた~』と言って
じゃれてくるところはハッキリ
言って迷惑だけど
デキる男ということは間違い
なさそうだ。
クローゼットを開けると
相変わらずビッシリ服が
かけられている。
えーと……押し込んじゃう?
たまに出てしまうズボラな性格。
気にせず端に寄せて
開いたスペースに服を押し込んだ。
パラッと何かが隙間から下に落ちた。
いつの日か見た茶色い封筒。
クローゼットの中に入ってたから
不自然だなと思ってたんだ。
でもそんなの深く気にも止めないで
仕方なくまた中に戻そうと手を伸ばす。
その何気ない行動が
あたしたちを引き裂く引き金に
なるとも知らずに………
拾い上げた瞬間、
あたしの躰は硬直した。
え…………?
な…んで…………?