灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
『触んないで……!』
もう涙でグシャグシャだ……
心はズタズタに切り裂かれて
なす術を見失っている。
『アキ…聞いて?ちゃんと話すから。』
両腕を掴む手を何度も振り払った。
『離せよ!触んな…!言い訳なんか
聞きたくない!』
知ってたんだ………
最初から全部………
『アキ…!誤解しないでくれ!』
『全部知ってて笑ってたんだろ!
異常者かくまって面白かった!?
お前もそっち側の人間か…!』
握りしめていた紙くずを
思いきり投げつけた。
信じてたのに……!
もう一度
信じてみたのに……!
こんなのってあんまりだよ
郷田………
『アキ、落ち着いて話をしよう?』
『聞きたくない!此処も出て行くから
!一緒に居ると虫唾が走る!今日ま
での事は感謝してるけどそれも今日
まで!サヨナラ…!』
一瞬、力が和らいだから
その手を振りほどき
背を向けて走り出した。