灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



だけどまた腕を掴まれて
ドアの前を塞がれる。
困惑した郷田の顔。



『どけよ。』



睨み付けるあたしの前で、
初めて見せた郷田の涙。



『何処にも行かせない。』



なんで……泣いてるの?
おかしいよ……
泣きたいのはあたしなんだよ……?



悔しい……
見抜けなかった自分が……
信じようとした自分が……
やっぱりあたしは
醜くて汚れたままだったってこと。



『いつから…?いつから知ってたの?』



静かな部屋に震えた声がやけに響く。



顔を伏せたまま、郷田は言った。



『出逢って少ししてから。』



『何のために……?』



『全てを知るために……』












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