灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
そっと唇は離れて、
額を寄せ付け余韻に浸る。
『ゆら…あの橋で出逢う前から俺は
ゆらを知ってたんだよ。』
『え…?』
どういうこと…?
『覚えてないのも無理ないよな。
今から話すこと、誤解しないで
聞いてほしいんだ。』
微かに震える左手を
ギュッと握りしめながら
真っすぐあたしを見据えた。
トクン…トクン……
郷田の口から告げられる真実が
あたしの息の根を止めるのか
どうかはわからない。
そっと瞳を閉じた。
どんな手を使って
あたしと接触出来たのか。
何故、あたしを知っていたのか。
知らないところで動いていた真実に
目を向ける時がきた。
『話して。』
全てを悟った郷田は、
ゆっくりと話し始めた─────