灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~

~廃れた異世界~




めまぐるしい日々を重ね重ね
手放してきた分、
何かにとりつかれたように
俺はゆらの存在を探し続けた。



可能性のありそうな場所を
片っ端から潰してく。
実際に足を運んでクランケを
見て回った。



最後に受付にて
『ここに安西ゆらさんは入院して
 ませんか?』と聞く。



だけど答えは同じ、全て『NO』
だった。



個人情報が絡むからなのか、
真っ向から聞いても警戒されるだけ
だった。



理由を尋ねられると
『生き別れた妹を探しています。
 警察は動いてくれないので。』
とだけ告げた。



ただ無謀に時間だけが
過ぎていく。
それもそのはずだった。
普通に探したところで
見つかるはずがない。



『とにかく一日も早く見つけてくれ。
 場合によっては上乗せする。』



通常の三倍はあるだろう報酬を
積み上げ、一人の優秀な探偵を雇った。



始めからそうすればいいものの、
逸る気持ちから
自分の足で動いてしまっていた。










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