灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



ジタバタと抵抗したから
針で何ヶ所か引っ掻いてる。
でももうこれからは
そんなこともないだろう。



あたしは、
「自由」を手に入れたんだから。



あのイカレた世界に
戻ることはない。



着替え終わって部屋を出ると
続く長い廊下で
もたれながら男は立っていた。



『あと、コレは何の為に必要なんだ?』



そう言って見せたモノは
透明の袋の中で小分けされた
大量の睡眠薬。



『返せよ。』



『悪いがコレは預かっておくよ。』



『はっ!?』



ソレがないとカモが釣れねーじゃん。
ふざけんなよ。



『次は薬で命落としかねないからな。
 欲しけりゃ病院で処方してもらえ。
 それか、またここに来い。』



怒りを沈めながら一息ついて俯く。
が、次の瞬間。
あたしの右膝は男の急所を打ちのめし
うずくまる姿を横目に、
素早く薬を奪い取った。










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