灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
騒がしい繁華街に出れば、すぐに
カモは見つかる。
すれ違うヤツらは必ず振り返って
あたしを見てるから。
適当に歩いてれば声がかかる。
歳はあたしより2、3コ上。
多分大学生。
こいつら金持ってるかな?
『今から一緒にカラオケ行かない?』
2人組の片方があたしに言う。
服装は…古着か。
髪はメッシュのロン毛ね。
足元から頭のテッペンまで見ながら
隣のヤツに目を移す。
小綺麗にジャケット羽織ってて
いかにもボンボンみたいな感じ。
アクセもさり気なくブランドだし。
コイツなら金取れそうだな。
オヤジの相手はまた今度。
『いいよ。金持ってないけど。』
そう言うとパッと笑顔になって
あたしを挟んで歩き出す雑魚たち。
『お金なら心配ないって~』なんて
平気で肩組むロン毛が加えた煙草を
取ると、『おっ』と言いながら火を
付けてくれた。