灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
2. 予防線
『ねぇ、本当にいいの?』
ハゲる一歩手前の脂ぎった
オッサンが
ネクタイを外しながら
聞いてくる。
いいの?って、
ここ、ラブホなんですけど?
“お金ある?”って聞いたら
ホイホイついてきたくせに。
“君ならいくらでも出すよ”とか
言ってて気持ち悪い。
でも世の中にはこんな
ヤさぐれた連中が腐るほど居るから
あたし的には助かってんだ。
狙った獲物は逃さないってね。
馬鹿げてるけど、
生きていくためには仕方ない。
『ビール飲んでいい~?』
『いいよ。ていうか君、未成年じゃ
ないの?』
『アハハ、よく言われる~。
ちゃんと二十歳越えてるよ?』
まんざら嘘ではない。
プシュッとプルタブを開けて
ビールを流し込む。
オエ…!まず……苦っ…!