灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



何の変化もないまま三日が過ぎた。



反省室から未だ戻らない二人。



施設側の考慮なのか。
何度訪れても、奥の部屋は
人の気配がなく
扉が開いた状態でガランとしていた。



警備の穴あき日は過ぎ去り、
通常の厳戒体制に戻る。
何の情報も掴めない日々が
益々俺を苛立たせる。



やっと接触できたのに。



もしこのまま遠くに引き裂かれるなら、
いっそのこと
ゆらを連れさらってしまいたい。



遠くへ行こう。
誰も知らない街へ行くんだ。
そして二人で見つけよう。
生きていく意味を……。



逢えば最初に何て言えばいいかな。
ゆらは何て言う…?
俺を見て、どう思うかな。
あの色のない瞳の中で
俺はどう映るのか…。



初めて聴いた声を何度も
リピートしてる。
また俺を泣かせるのか…?
ゆらを遠くに感じて眠れないんだ。



頬を濡らして目覚める朝。
鉛のように重たい躰は
わずかな希望だけで動いてる。










< 202 / 300 >

この作品をシェア

pagetop