灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
何の変化もないまま三日が過ぎた。
反省室から未だ戻らない二人。
施設側の考慮なのか。
何度訪れても、奥の部屋は
人の気配がなく
扉が開いた状態でガランとしていた。
警備の穴あき日は過ぎ去り、
通常の厳戒体制に戻る。
何の情報も掴めない日々が
益々俺を苛立たせる。
やっと接触できたのに。
もしこのまま遠くに引き裂かれるなら、
いっそのこと
ゆらを連れさらってしまいたい。
遠くへ行こう。
誰も知らない街へ行くんだ。
そして二人で見つけよう。
生きていく意味を……。
逢えば最初に何て言えばいいかな。
ゆらは何て言う…?
俺を見て、どう思うかな。
あの色のない瞳の中で
俺はどう映るのか…。
初めて聴いた声を何度も
リピートしてる。
また俺を泣かせるのか…?
ゆらを遠くに感じて眠れないんだ。
頬を濡らして目覚める朝。
鉛のように重たい躰は
わずかな希望だけで動いてる。