灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
触れたい……
声が聴きたい……
記憶の中で蘇る
哀しい瞳をしてる君……
早く連れさらって
その涙を拭ってやりたい……
今、その瞳に何を映してる……?
君を感じていないと、
どうにかなってしまいそうだ……
限界だった。
出口のない迷路に迷い込んだ自分。
こんなに情けない自分を
初めて知った。
夜の電話。
久しぶりに聞く叔父の声。
夕食を誘われた。
少しでも気が紛れるならと出掛けたけど
人混みの中、探すのはゆらの面影。
申し訳ないほど俺はキョロキョロ
していた。
一緒に食べた味も会話も、
正直記憶にない。
それでも笑顔で受け答えしている。
仕事の話をされないだけ
マシだったかも。
近況について聞かれたが、
軽く流した。
この人たちに迷惑はかけちゃ
いけない。
改めてそう強く決心した。