灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
──郷田さん。気をしっかり持って
ください。居なくなったわけじゃ
ない。これはチャンスですよ?
施設の外で接触するチャンスです。
何が何でも見つけましょう。
探偵の声に自然と涙が頬を伝った。
情けない……。
道端で男が泣くなんて。
ただ……怖いんです
自由の身になった今、
命を粗末にしてるんじゃないかって……
守ってくれる人なんて居ないから
勢い余って命を落としたら……
もしもそんなことが起きたら
俺はこの先、生きていけない。
どんなに時間がかかっても
遅すぎるなんてことはないよな……?
頼むから、生きていてくれ。
バカなことだけはしないでくれ……。
一分一秒でも無駄に出来ない。
本格的な捜索に乗りでた俺は
寝る間も惜しんで色んな場所に
足を運んだ。