灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



だからどんな可能性でも
俺は探し続けるよ。
ゆらの面影は頭に叩き込んである。



危ない場所にだって何度も足を運ぶ。
居ないとわかっていても、
隅々まで見て回る。



絡んでくる奴には名刺を渡しておいた。



『安西ゆらという女が居たらここに
 連絡してくれ。歳は23だ。』



両腕に刺青を入れた男たちは
ひゃっひゃと笑っている。



『え~可愛かったら襲っちゃうよ?』



ジロリと睨みをきかせると
男たちは黙る。



『その時は、遠慮なくお前を殺す。』



全てを犠牲にしてでも守りたい。
誰一人、指一本触れさせない。
この俺が真の怒りに触れた時、
人を殺めることなど何の抵抗も
感じないだろう。



例え手を赤く染めようと
俺は俺のやり方でゆらを守る。
守ってみせる。











< 208 / 300 >

この作品をシェア

pagetop