灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



窓を開けると涼しい風が吹き抜けた。



日付けが変わっても、
若者たちのはしゃぐ声は消えること
はなく、遠くで聞こえてる。



『え~面倒くさいよ。』



ふと、こんなセリフがすぐ近くで
耳に届いた。
か細い女の声。



全身に電流が走った。



そっと顔を上げた先に見える人影。
女を挟んで歩く男二人。



『行って楽しかったら教えてあげる。』



彼女がそう言うと、
隣に居た赤髪の男は肩を抱いて
鼻息を荒くしていた。



ちょっと待ってくれ…!



ピンクのTシャツ、黒のキャップ帽と
いう格好は少し目立たないか?



細くて長い手足はあの日とかぶる。
左手首にはリストバンドか付けられ
ていた。



速まる鼓動。
おもむろに車から降りて
後を付ける。










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