灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
ゆらなのか…?
まだわからない。
風に揺れる髪も歩き方も
記憶の中のゆらと重なった。
確信が持てないまま、三人は
カラオケボックスへと入って行く。
中に入るべきか、待つべきか。
少し迷ったあげく待つことにした。
もう一度思い出してみる。
“ミホ、ピンセット持ってない?”
“え~面倒くさいよ”
“コレ入ってた。後で消毒しな?”
“行って楽しかったら教えてあげる”
インプットしていたゆらの声が
さっきの声と一致した。
ただ、髪は肩下で明るい栗色に
染まっていた。
逃亡中にいくらでも変えられる。
変装なんて当たり前だ。
でも、ここで待つと選んだことに
少し後悔した。
何かあった場合、すぐに助けられない。
次第に頭の中が悪い妄想で膨らんで
いく。