灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



急いで帰路につき服を剥ぐ。
細い華奢な躰にはいくつもの
傷が付いていた。
白く透き通るような肌に
生々しい傷跡。



ポケットに入っていた大量の睡眠薬。



楽な服に着替えさせベットに
寝かせる。
あどけない寝顔は見ていて
飽きない。



きっと目を覚ませば
廃れた目つきで俺を睨みつけるだろう。



やっと戻ってきたね。
これからは、俺がお前を守るから。



髪に手を触れ、優しく撫でた。
柔らかくて細い髪が指に絡む。
そっと額にキスを落とした。



遠くから携帯の着信音が聞こえ、
リビングに置いた自分の携帯から
だとわかった。
すぐに部屋を出て携帯を見ると、
探偵からだった。



事情を説明し、捜索はここで
打ち切りとなる。



部屋に戻るとまだ眠る横顔。
触れてしまいたい。
柔らかそうな唇。
奪ってしまいたくなる。



頬に手を添え、吐息がかかるほど
顔を近付ける。
ほんの些細な変化にも敏感なんだ。



『起きているんだろう?』










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