灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



観念したのか、ゆっくりと瞳を
開けたゆら。
明るいところで見る瞳は黒く、
敵対心で溢れていた。



かすれた声で
『ダレ…?あんた』と言う。
驚いたことに、自分を“アキ”だと
名乗った。



正直面食らってしまったけど、
逃亡中なら仕方がないかと納得した。
偽名を使うのは致し方ない。



睡眠薬を取り上げたら
股間を蹴られて一度離れたものの、
オヤジを誘ってラブホに入った
ゆらをすぐに見つけた。



というより、
必ず手放さないであろう睡眠薬の中に
超小型のGPSをくっつけておいた。
こうなることは始めからわかって
いたからね。



だからあのレイプまがいの時もすぐに
駆けつけれた。
汚い手で触った連中には一通り
病院送りにしたし。



運んでいる途中、
俺の首にしがみついているゆらを見て
やっぱり女なんだなと改めて思った。



遠い意識の中で、
自分を頼ってくれていることが
こんなにも嬉しい。
誰かと重ねてくれててもいい。
このまま俺に触れていてくれ。










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